TOP >> 技術指導の紹介 >> 西畑デコ芝居 春野高校




 中学時代、徳島で演劇部に所属していた私は、四国大会で春野高校の演技を観て衝撃を受けました。春高生たちの鬼気迫る演技。偶然、親族が春野に住んでいたことから、春野高校に進学を決めました。そして出逢ったのが西畑デコ芝居です。徳島では阿波浄瑠璃が有名ですが、このデコ芝居には共通点が多く、不思議な縁を感じました。
 3年生から本格的に役割を与えられ稽古が始まりました。以前太鼓を習っていたこともあったので迷わず締太鼓を選びましたが、初めて目にした昔ながらの譜面は暗号そのもの…これを読み込んで演奏していた先輩たちに尊敬の念が湧いてきました。
 練習を重ね、自分の演奏するパートに自信をもって臨んだ通し稽古。「自分の出番が終わっても気を抜いたら駄目!」と思いもしない指摘をいただきました。役者が演じる舞台と同じように、呼吸を含めたすべての要素が繋がっている。一人ひとりの心が揃っていないと、ほんの少しリズムがずれたり、音が外れたり、必ず目に見え、音として聞こえる結果として現れるのです。自分のパートは完璧に演奏できたと自己満足するのではなく、共に演じるみんなが納得しなければ務めを果たしたことにはなりません。
 毎週水曜日、畑仕事を終わらせた片山さんたちが大量の芝居道具をトラックの荷台に積んでやって来ます。稽古はみっちり2時間半。熱心な指導に応えたい一心で最後までやり抜きます。大変ではありますが、懸命に努力したり、めちゃくちゃ苦労すると自分の糧になります。なにより地域の方と触れ合うことで、春野ってすごく大切なものを持っている町だと気づけたことが大収穫でした。




 10年程前、当時春野高校の演劇部顧問だった西村先生が突然訪ねてきました。地域の伝統芸能を生徒たちに学ばせたいと頼まれ続け、引き受けたのが5年前。「百姓」は「百の姓を持つ」という意味があります。地質学、気象、作物の特性、体力、地域の輪、家族の団結、百のことが出来なければ農業は成り立ちません。皆で力を合わせて一つの舞台を創りあげるデコ芝居も同じです。人には必ず得意分野がある。私も人形遣いは苦手ですが拍子を打たせたら天下一品(笑)。皆さんの生まれ育った地域にも様々な達人がいます。ふるさとの技、達人の技を学んで後世に残して行って欲しい。それが私たちの願いです。