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熱血先生図鑑

    サニーアクシス南国店|久保さん


     安芸工業高校(現在の安芸桜ケ丘高校)の建築科第1期生として学び、卒業後に実習助手として母校に残りました。その後は安芸工業で20年、宿毛工業で5年、高知工業で5年を経て現在桜ケ丘で7年目になります。時代は昭和から平成へと変わり、生活スタイルも一変。コピー機すらなかった時代、一つひとつ自分の目で見て、読んで、調べて、書いて、自分の努力で必要なものを手に入れてきました。ものづくりの世界では、そのプロセスがとても重要です。求められている物を完成させるだけではなく、どうしてそれが必要なのか、もっといいやり方はないのかと試行錯誤する過程にこそ大切な学びがあります。仕事の流れ、段取り、最後の掃除に至るまでの全行程を子どもたち自身に考えてもらい、ものづくりの本質をつかんでほしいと考えています。

     生徒たちの教材として4年前に自宅を建てました。大工はかつての教え子達。施工中、生徒たちをインターンシップの名目で誘っては「まあ、やってみい!」と、釘打ちから格子窓まで、なんでもやらせてみました。資材として用いる杉は手触りが良くて温かく、湿気もコントロールしてくれる優れもの。乾燥してヒビが入ることでより強固な木へと進化するのも特徴です。その一方では、傷が付きやすく、慎重に取り扱わなければなりません。そこをどうするか、常に考えて作業することが求められます。
      昔の家には棟札(むなふだ)を屋根の下や梁の上に貼り、どんな大工さんがいつ建てたのか一目で分かるようになっていました。家の出生記録のようなものです。私の家の棟札には、大工を務めてくれたかつての教え子の名前を記しました。100年後、孫やひ孫たちがこれを見て「えっ教え子が建てたの!」と驚くことが私の密かな楽しみです。

     一つとして同じ木目の木はありません。北の日陰で育つ木もあれば、南の日向で育った木もある。建物に使用する際には、北の木と南の木では用いる場所が変わります。同じように見える木でも、それぞれの個性や持ち味というものがあるのです。人間も同じで十人十色。器用な子と不器用な子がいるのは昔から一緒。ウサギとカメのような違いだとウサギがもてはやされがちですが、カメにはカメの持ち味があります。スピードは遅くても一つひとつのことを着実に乗り越えていく強さを大切にしたい。異なる個性の人が二人いて、お前はここを俺はここをと助け合う。ものづくりという共同作業を通して、自然と仲間意識が生まれ、知らず知らずのうちに助け合っていきます。そのように、互いに個性を尊重し、活かし合い、支え合うことを学んでもらえるよう、努めています。
      千利休の言葉を記した色紙を書斎に飾っています。「稽古とは 一より習い 十を知り 十よりかへる もとのその一」という言葉。稽古というのは、初めて一を習う時と、十まで習ってから再び一を習う時とでは、人の心は全く変わっている。十まで習ったからこれでよいと思った人の進歩はそこで止まってしまい、その真意をつかむことはできない、という教えです。日々、自分に言い聞かせています。