広島県出身の私にとって、マッチングセミナーは高知の企業を知る絶好の機会でした。そこで学んだ「プラスαの行動をする」「積極性を身に付ける」「働く意味を探る」の3つのテーマを掲げてインターンシップに挑みました。
 配属された技術開発部では、コンデンサという電子部品の中に使われている紙(セパレータと呼ばれ、ニッポン高度紙工業の世界シェアは60%!)の研究をしました。水を吸わない紙に吸水性を持たせるという実験をしたのですが、分析結果に誤差が生じると仮説を立てて検証実験をおこないます。整合性がとれるまで何度も検証実験を繰り返すのですが、まさに「そこまでやるか!?」という徹底ぶり。簡単な実験とはいえ、一切の妥協を許さないプロ意識に触れました。「このセパレータが世界中の電気製品で重要な役割を担っていると思うとすごく嬉しい」。社員さんの無邪気に話す笑顔が印象的でした。研究者のような専門職に陥りがちな自己満足ではなく、世界中の人に役立ちたいと願う働き方が垣間見えた瞬間です。良い紙をつくりたいという想い。その先にある努力の積み重ねから、世界シェア№1という実績が生まれたのだと思います。
 研究開発に興味を持ち高知工科大学に進学したものの、就職は一般職で、と考えていました。しかし今回、各分野のプロフェッショナルたちが知恵と技術を結集させ、世界が驚愕するような新製品を創り出す喜びを知り、再び研究職の道を志そうと燃えています。将来の進路が不明確だった私にとって、くっきりとした未来を描く機会になりました。





 「中間報告会」には特別な意味があります。体験に臨むインターンシップ生には、それぞれの思惑や目標があります。しかし、いざ現場に臨むと想定と異なることも多く、目標に修正を加える必要があります。前半終了後、当初に描いていたインターンシップの目的や目標を発表してもらい、ゴールに向けて残りの期間をどのようにしていくのか、その方針を発表してもらいます。つまり、製造業にとって最重要となる「検証プロセス」を、身をもって体験してもらおうという狙いです。  インターンシップに大きな変化を期待するべきではないでしょう。角度で言えば1度の変化が大事。わずか1度でも、10年20年と進み続けることで大きな変化をもたらします。南澤さんの場合、報告会がターニングポイントとなり、少しずつ自発的に動き始め、やがて皆の中心になっていきました。報告会で受けた刺激が1度のズレを引き起こし、日の経過と共に少しずつの成長を実現していくのです。
 会社の進化も同じです。お客様の声に真摯に耳を傾け、小さなニーズに応え続けたからこそ今があります。モノを発明し創り出す創造力、それを具現化する知恵。ノウハウを確立し、紙を抄きあげる技術。常にナンバーワンでいられるのは、それぞれが1度の変化を追究し、人生を捧げ続ける従業員の姿があってこそのことなのです。