• 『自分を知る』という
    テーマに導かれて。

     インターンシップに大学生が参加する場合、そのほとんどが就職活動を間近に控えた三回生のタイミング。しかし、矢野梓さんは二回生で参加することにした。就職活動に追われる三回生になってからよりも、時間的にも精神的にも余裕のある今、自分についてじっくり考えてみようと思ったからだ。
     「新聞記者とか、アナウンサーとか…絵を描くのが好きだからイラストレーターも憧れるな…とか、いろいろと想像は膨らむのですが、自分にあった職業って何だろう?自分は何が大事なんだろうって悩みだしたら、だんだんとぼやけてきてしまって。あんまり自分のことが分かってないのかな…と思ったり」
     憧れの職業、やってみたい仕事、ワクワクするような想像の一方で、果たしてそれが『自分らしい』将来なのか、という漠然とした不安。誰もが一度じっくり向き合わなければならない『自分』というテーマに行き着いた。学校の勧めで参加したマッチングセミナーで、そんな矢野さんはピンと来るキーワードを見つけた。
     「『自分を知る』。四国管財さんがこのテーマでインターンシップをおこなうと聞いたとき、今の心境にピッタリだと思ったので、すぐに決心しました」
     四国管財にはキャリアカウンセラーの資格を持った教育担当者がいて、インターンシップの学生をサポートしてくれる。対話の中から研修生の興味関心や能力、価値観などを引き出し、「気付き」に導く専門家だ。そのインターンシップでは業務の現場で作業を体験するよりも、様々な業界の仕事や働き方を紹介するビデオ学習やグループディスカッション、適性検査などを通して『自分を知る』。 まさに矢野さんの悩みにピッタリのプログラムだった。

    自分が周りにどう映っているか、という見方。

     「今回のプログラムで強く記憶に残っているのは、模擬面接です」  この模擬面接では、前述の教育担当者だけでなく、総勢16名のインターンシップに参加する学生たちも面接官となり、その人から感じた印象や、気になった癖などをフィードバックしあう。
     「客観的に見てもらうことで、初めて自分の癖に気づかせてもらいましたし、自分の考えを正確に伝えることの難しさをあらためて実感しました。それに他のインターンシップ生が模擬面接を受けている様子を観察しながら、もっと言葉の使い方をこう変えたほうがいいのに…と気付くこともあって、すごく勉強になりました」
     この経験から、インターンシップが修了した今でも、心がけていることがある。「人と会話するとき、以前は相手のことなど何も考えず、思いつくまま、ただ喋っていました。今は自分の言葉が相手にどう聞こえているか、自分がどう見えているかに注意して、言葉選びや態度を強く意識するようになりました」

  • インターンシップに参加して
    出した一つの方向性。

     早くから就職や将来について意識していたという矢野さん。アルバイト選びも徹底している。  「飲食店のホールと、放送局でのアシスタントディレクターのアルバイトをしています。飲食店は、人と関わり合う仕事の方が人間として成長できる気がして選びました。放送局の方は、アナウンサーや報道に関心があったので業界研究をしたいと思って」取材しているこちらが感心してしまうほど、具体的な動機を持って意欲的に取り組んでいる。日頃から学びの多い環境の中で、今回のインターンシップが彼女に与えたものは何だろうか。
     「アルバイトの時間というのは、お給料をもらって仕事をしていますので、作業の内容を把握して、スムーズにこなす方向に努力している、という感じです。インターンシップでは、『やり方』ではなく『考え方』を教えてもらったし、多くの課題を与えてもらえた経験でした」
     『自分を知る』というテーマで参加したインターンシップ、その成果はどうだろう。「職業を選択する前に、まず自分のことを知らなければ、と思ってトライしたインターンシップなのですが、すぐに就職活動に結びつくものではありません。大切なことは、自分の個性について深く考えたり、周りから意見をもらうことで弱点にも気付かせてもらったり。適性検査では『環境の変化に強い』『柔軟性がある』なんて判定が出て、意外だったけど思い返せば納得できるところがあったり。二回生で参加することに不安や緊張もあったけど、やってみたら本当にいろんなことが学べた。物怖じせず何でもやってみよう、と以前に増して強く思えるようになりました」
     大変と思えることもすべて自分の成長のチャンス。立ち止まらず、一歩踏み出す勇気を持つこと。その経験から自分の可能性と自信が見出せる。
     「三回生でも必ずインターンシップに参加する!」と言い切る矢野さん、次のインターンシップではどんな成長を語ってくれるのか、ぜひ追いかけてみたい。